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強度行動障害支援者養成研修とは|基礎研修・実践研修の内容

強度行動障害支援者養成研修は、強度行動障害のある方への適切な支援技術を身につけることを目的とした、厚生労働省が定めた研修制度です。近年、障害福祉サービスの質向上が求められるなかで、この研修の修了が一部の事業所・職種において加算要件や配置基準に関わるようになり、福祉・介護・医療領域で働く方にとって注目度が高まっています。本記事では、研修の概要から対象者、カリキュラム、費用・期間、修了後のキャリアに活かし方まで、制度の基本をわかりやすく解説します。

強度行動障害支援者養成研修とは

強度行動障害とは、自傷行為・他者への攻撃・激しいこだわりなど、著しく不適応な行動が高い頻度で起こる状態を指します。知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)のある方に多く見られ、適切な環境調整や支援技術なしには本人・周囲の双方に大きな負担が生じます。

強度行動障害支援者養成研修は、このような方々へ科学的根拠に基づく支援(主に応用行動分析:ABAの考え方を土台とした手法)を提供できる支援者を育成するために整備された研修です。2014年度から国の制度として位置づけられ、都道府県または指定を受けた研修機関が実施しています。研修は基礎研修実践研修の2段階で構成されています。

対象者・受講要件

研修の対象者は、障害福祉サービス事業所などで直接支援に携わる職員が中心です。具体的には以下のような方が受講しています。

  • 生活介護・グループホーム・入所施設などで勤務する支援員・世話人
  • 放課後等デイサービス・児童発達支援事業所のスタッフ
  • 就労継続支援事業所(A型・B型)の従業員支援担当者
  • 行動援護・重度訪問介護に従事するヘルパー
  • 相談支援専門員や施設管理者など、支援に関わるすべての職種

基礎研修に特定の資格・経験年数の要件は設けられていないことが多く、福祉・医療領域に就いたばかりの方でも受講できます。実践研修については、基礎研修の修了が前提条件となっている場合が一般的です。詳細な受講要件は実施機関・都道府県によって異なる場合があるため、申し込み前に確認することをお勧めします。

研修の構成とカリキュラム

基礎研修

基礎研修は、強度行動障害の基本的な理解と支援の考え方を学ぶ入門段階に相当します。おもな内容は以下のとおりです。

  • 強度行動障害の定義・特性・発生メカニズムの理解
  • 自閉スペクトラム症(ASD)の特性と行動の背景にある本人のニーズの読み解き方
  • 強度行動障害支援の基本原則(環境調整・構造化・コミュニケーション支援)
  • 虐待防止・権利擁護の視点
  • 記録の書き方・チームアプローチの考え方

受講時間は標準的に2日間(計12時間程度)で設定されています。講義・演習・グループワークを組み合わせた構成が多く、座学だけでなく事例検討も含まれます。

実践研修

実践研修は、基礎研修で得た知識をもとに、実際の支援場面での応用力を高めることを目的とします。おもな内容は以下のとおりです。

  • 行動支援計画の作成方法(アセスメント・目標設定・評価)
  • 応用行動分析(ABA)に基づく具体的な支援技術の演習
  • 強度行動障害のある方の個別事例を用いた実践的なシミュレーション
  • 支援チーム全体での計画共有・継続的な評価と改善のプロセス

受講時間は標準的に2日間(計12時間程度)で、基礎研修と合わせると合計4日間・24時間前後が目安となります。なお、カリキュラムの細部は実施機関や年度によって変わることがあります。

受講の流れ・費用・期間

申し込みから修了まで

研修は都道府県が主催するもの、または都道府県から指定を受けた社会福祉協議会・NPO法人・事業者団体などが実施しています。一般的な流れは次のとおりです。

  • 実施機関のウェブサイトや都道府県の福祉担当窓口で開催情報を確認する
  • 所定の申込書・受講料を提出して受付完了
  • 基礎研修(2日間)を受講・修了
  • 実践研修(2日間)を受講・修了
  • 修了証の交付

費用の目安

受講料は実施機関によって異なりますが、基礎・実践それぞれ数千円〜1万円台前後が目安とされていることが多いです。都道府県が主催する研修では費用が抑えられる場合もあります。事業所が費用を負担するケースも多いため、勤務先に確認してみましょう。なお、受講料・開催スケジュールは年度ごとに変わる可能性があります。

オンライン受講について

新型コロナウイルス感染症への対応を契機として、一部の実施機関では講義部分をeラーニング・オンライン形式で提供するようになっています。演習・グループワークは対面で行うハイブリッド型も広がっています。受講形式は機関によって異なるため、募集要項を確認してください。

修了後にできること・キャリアへの活かし方

加算・配置基準との関連

強度行動障害支援者養成研修の修了は、障害福祉サービスの報酬制度上の評価と結びついています。たとえば、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者を配置することが「強度行動障害支援体制加算」などの算定要件の一つとなる場合があります。そのため、施設・事業所から受講を推奨されるケースが少なくありません。加算の要件・名称は制度改定に伴い変わり得るため、最新情報は厚生労働省や都道府県の通知を確認してください。

専門性の向上とキャリアパス

研修修了は、支援の専門性を客観的に示す一つの指標となります。強度行動障害のある方が利用する入所施設・グループホーム・専門外来などでは、この研修修了者を積極的に採用・育成している事業所もあります。また、相談支援専門員やサービス管理責任者を目指す方にとっても、より複雑なニーズをもつ方への対応力を高める学びとして位置づけられます。

行動援護の従業者要件(知的障害者・精神障害者・難病等対象者に対する行動援護)にも、強度行動障害支援者養成研修の修了が関わる場合があります。制度の詳細は都道府県や市区町村の担当窓口にご確認ください。

受講を検討する際のポイント

  • 勤務先・所属事業所の対象サービス種別を確認し、加算要件や配置基準との関連を把握する
  • 都道府県の福祉担当部署・社会福祉協議会のウェブサイトで開催日程・会場・申込期限を早めに確認する
  • 基礎研修と実践研修の開催時期がずれる場合もあるため、両研修の日程を見通しながら計画する
  • 費用負担・勤務扱いの可否について事前に事業所と相談しておく

強度行動障害支援者養成研修は、支援が難しいとされる方々の生活の質を高めるための専門知識と技術を体系的に学べる機会です。福祉・介護・医療の現場でより深い支援力を求める方にとって、キャリアの土台を広げる研修の一つとして検討する価値があるでしょう。

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この記事の監修者
高司 浩 社会保険労務士・行政書士

社会保険労務士(登録番号13240309)・行政書士。労働条件・社会保険・資格制度の専門家として、資格・給料・働き方に関する記事の正確性を監修しています。

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